三分割法とは、画面を縦横3つずつ、9つのマスに分け、被写体をどれかの線の上か、2本の線が交わる点に置くという考え方です。被写体が中心から外れると視線に動きが生まれ、画面の空いた側にも役割ができるので、うまくいきます。ただし、シーンがすでに左右でバランスしているとき、被写体が画面いっぱいに広がるとき、強い線がまっすぐ中央へ向かっているときは、あえて崩しましょう。このガイドでは三分割法の上手な使い方と、真ん中や別の形のほうが写真に合う場面の見極め方を紹介します。
三分割法が本当に求めていること
端からそれぞれ3分の1の位置に、縦線2本と横線2本を思い浮かべてください。線は4か所で交わります。三分割法が求めるのは2つだけです。
- 被写体を交点に。顔、ボート、一本だけ立つ木。周りにいちばん生きる余白が残る交点を選びます。
- 水平線を線の上に。上の線か下の線に置き、地面と空のどちらを主役にするかをはっきりさせます。
三分割法はこれで全部です。あくまで出発点であって、光やタイミング、写真が何を語るかについては何も言っていません。被写体を画面のど真ん中から外すだけです。広い画面の真ん中に小さな被写体があると、ただ置かれただけに見えがちだからです。
どの交点を選ぶか
交点が4つあるということは、本当に選択肢があるということで、選び方で写真が変わります。いくつかの習慣が役に立ちます。
- 動いている被写体や、どこかを見ている被写体には、前方に余白を。右へ走る自転車は左の線に。左を向いた顔は右の線に置けば、視線の先に空間ができます。
- 光のある場所に被写体を。シーンの明るい部分が上にあるなら、上の交点を使います。
- 重さを出したいなら下の交点を。画面の低い位置にある被写体は、どっしりと安定して見えます。高い位置の被写体は軽やかに、あるいは遠くに感じられます。
iPhoneで三分割法を使う
カメラアプリには、「設定」>「カメラ」>「グリッド」にグリッド表示があります。オンにしましょう。4本の線が表示されるだけなので、あとは自分次第です。
- まず被写体を見つける。グリッドを見る前に、何の写真なのかを決めます。
- 目ではなくスマートフォンを動かす。被写体が交点に来るまでパンします。小さな動きが効きます。1×なら数度パンするだけで、被写体は大きく動きます。
- 水平線をまっすぐにしてから配置する。傾いた水平線は、三分割の線上にあってもミスに見えます。カメラアプリの水平インジケーターが役立ちます。
- 画面の端を確認する。被写体を中心から外すと、反対側に新しいものが入り込みます。それが写真に必要なものか確かめましょう。
風景では、交点よりもどの線を選ぶかが大事です。空がドラマチックなら水平線を下の線に置き、画面の3分の2を空に。三分の二構図なら、上の交点にはっきりした被写体をひとつ加えます。手前の景色が主役なら水平線を上の線に置き、画面の大半を地面に使いましょう。
うまくいく理由を手短に
被写体を中央に置くと、画面の左右が等しくなり、等しい2つの半分は静止した印象を与えます。被写体を三分割の線上に置くと、片側がもう片側より大きくなります。大きいほうの側は文脈になります。ランナーが走ってきた道、ボートが向かう海、ポートレートの背景の壁。写真は被写体とその周囲との関係として読まれ、それはたいてい日常の写真に求めたいものです。
同じ理由で、三分割法がうまくいかないシーンもあります。周りに語るものが何もないとき、あるいは被写体そのものが写真のすべてのとき、中心から外しても何も伝わりません。
三分割法を崩すべきとき
シーンが対称なとき
出入り口、建物の正面、正面から見た橋。こうしたシーンはすでに左右でバランスがとれていて、軸を三分割の線までずらすと、そのバランスが失われます。軸を中央に置き、正面から向き合いましょう。そのためのガイドが日の丸構図と左右対称構図です。
被写体が画面いっぱいのとき
被写体が画面の半分以上を占めると、置くべき意味のある交点はありません。寄りのポートレート、花の頭、ぐっと寄った料理のお皿。こんなときは画面いっぱいに写し、画面の端で被写体を丁寧に切り取りましょう。
線が真ん中へ向かうとき
廊下、駅のホーム、真ん中から見たまっすぐな道路には消失点があります。その点が中央にあり、正面から向き合っているときに写真はいちばん力強くなります。三分割の線に置くと、線が視線を画面の端へ引っぱってしまいます。
被写体がとても小さいとき
静かな広い空間の中の小さな被写体は、周りがすっきりしていればほぼどこに置いても成立します。三分割法も使えますが、正確な交点よりも、画面の端と余白のほうが大事です。
被写体が複数あるとき
2つのものは、対角の交点に置くと画面が斜めの線として読まれ、うまくまとまることがよくあります。3つなら三角形に置くのが効果的なことが多いでしょう。グリッドは配置の助けになりますが、構図になるのはそれらが一緒に作る形です。
よくある失敗
- 合わせる点を間違える。人物なら、目を線の上に置きます。体の中心を合わせるのは間違いです。
- 関節で切る。人物を三分割の線に寄せると、膝や手首で切れてしまいがちです。関節と関節の間で切りましょう。
- 水平線を忘れる。被写体が交点にあっても、水平線が真ん中を通っていると写真が二つに割れます。
- 三分割法を判定基準にする。被写体が中央にあるから間違った写真、ということはありません。画面の空いた側が何か役割を果たしているかを考えましょう。
構図の提案はカメラに任せる
難しいのは、自分が今どのケースにいるのかを見極めることです。Camera Gridは端末上でシーンを読み取り、合うガイドを選んでビューファインダーにターゲットを描き、どれだけ近づいたかをシャッターボタンを囲むスコアの輪で示します。普段の標準は三分割法で、シーンに応じて日の丸構図、画面いっぱい、一点透視構図へと切り替わります。
チェックリスト
- グリッドを見る前に、何が被写体かを決める。
- 被写体が見ている方向、動いている方向に余白が残る交点に置く。
- 水平線をまっすぐにしてから、上か下の線に置く。
- 画面の反対側に何が入り込んだかを確認する。
- シーンが対称なとき、消失点が真ん中にあるときは、中央に置く。
- 被写体が画面のおよそ半分を超えるなら、画面いっぱいに写す。